ディープラーニング人気の急上昇とともに注目されるようになった「アルゴリズミックバイアス」の解説書。アルゴリズミックバイアスとは、コンピュータによる偏った決定のことです。ネットショップでまるで的はずれなお勧めをされるとか、こちらには非がないにもかかわらずアカウントを凍結されるなどは、バイアスの悪影響の典型例と言えるでしょう。コンピュータ(AI)が下す決定には検出しづらいさまざまな「バイアス(偏り)」が存在します。本書では、バイアスがどのように発生するかを知り、バイアスとの闘い方を通して機械学習全般について学び、システムにバイアスが混入しないように予防、管理する方法を明らかにします。
●翻訳者による「日本語版のサポートページ」
AIの心理学
―アルゴリズミックバイアスとの闘い方を通して学ぶ ビジネスパーソンとエンジニアのための機械学習入門
Tobias Baer 著、武舎 広幸、武舎 るみ 訳
- TOPICS
- Data Science , System/Network
- 発行年月日
- 2021年10月
- PRINT LENGTH
- 344
- ISBN
- 978-4-87311-962-5
- 原書
- Understand, Manage, and Prevent Algorithmic Bias
- FORMAT
- Print PDF EPUB
目次
はじめに 第Ⅰ部 序論――バイアスとアルゴリズム 1章 アルゴリズミックバイアスとは 2章 人間による意思決定で生じ得るバイアス 2.1 バイアスの働き 2.2 バイアスの分類 2.3 アクション志向バイアス 2.4 安定性バイアス 2.5 パターン認識にまつわるバイアス 2.6 インタレストバイアス 2.7 ソーシャルバイアス 2.8 個々の意思決定vs.全体像 2.9 まとめ 3章 アルゴリズムとバイアスの排除 3.1 アルゴリズムの簡単な例 3.2 アルゴリズムが教えてくれること 3.3 まとめ 4章 モデルの開発 4.1 モデル開発の概要 4.2 ステップ1モデルのデザイン 4.3 ステップ2データエンジニアリング 4.4 ステップ3モデル推定 4.5 ステップ4モデルの検証 4.6 ステップ5モデルの実装 4.7 まとめ 5章 機械学習の基本 5.1 機械学習の目的 5.2 機械学習とは? 5.3 他のモデリング手法との比較 5.4 まとめ 第Ⅱ部アルゴリズミックバイアスの原因と発生の経緯 6章 実世界のバイアスがアルゴリズムにどう反映されるか 6.1 確証バイアスの架空の事例 6.2 戦うべきはアルゴリズムではない 6.3 まとめ 7章 データサイエンティスト自身のバイアス 7.1 データサイエンティストの確証バイアスの影響 7.2 データサイエンティストの自我消耗の影響 7.3 データサイエンティストの自信過剰がバイアスに与える影響 7.4 まとめ 8章 データがもたらすバイアス 8.1 データがもたらすバイアスの概要 8.2 A-1主観的・定性的なデータがもたらすバイアス 8.3 A-2表面上は定量的に見えるデータがもたらすバイアス 8.4 B-1人間自身のバイアスを反映しているデータがもたらすバイアス 8.5 B-2衝撃的な出来事に大きな影響を受けたデータがもたらすバイアス 8.6 C-1コンセプト的な誤りに由来するバイアス 8.7 C-2データの不適切な処理がもたらすバイアス 8.8 まとめ 9章 アルゴリズムと安定性バイアス 9.1 モデルに内在する不安定性 9.2 データに存在しない事例への対処 9.3 反応速度(レスポンス)の重要性 9.4 アウトカムの判定の際に働く安定性バイアス 9.5 まとめ 10章 アルゴリズム自体がもたらすバイアス 10.1 アルゴリズムのエラー 10.2 サンプルサイズとケースフリークエンシーの役割 10.3 決定木による予測 10.4 倫理的な視点から 10.5 まとめ 11章 ソーシャルメディアとアルゴリズミックバイアス 11.1 ソーシャルメディアにおけるアルゴリズムの影響 11.2 ユーザーの役割 11.3 システム変更の必要性 11.4 まとめ 第Ⅲ部ユーザー視点のアルゴリズミックバイアスの対処法 12章 アルゴリズムを使うべきか否か 12.1 アルゴリズムを利用する程度 12.2 アルゴリズムの効果の評価法 12.3 まとめ 13章 アルゴリズミックバイアスのリスクの評価 13.1 損害の深刻度の評価 13.2 バイアスの傾向の評価 13.3 まとめ 14章 一般ユーザーによるバイアスの回避策 14.1 一般ユーザーによる回避の取り組み 14.2 身につけるべき習慣1訊いて訊いて訊きまくる 14.3 身につけるべき習慣2推定値ではなく「不明」のラベルを付けさせる 14.4 身につけるべき習慣3意味のある数値を報告してもらう 14.5 無知の知 14.6 まとめ 15章 アルゴリズミックバイアスの検出方法 15.1 アルゴリズムの監視とは 15.2 代表的なメトリクス 15.3 各分析の実践 15.4 有意性と正常範囲 15.5 根本原因解析 15.6 ブラックボックス・アルゴリズムの監視 15.7 自己改良型のアルゴリズムの監視 15.8 まとめ 16章 管理者の介入によってバイアスを抑止する方法 16.1 偏見との戦い 16.2 アルゴリズムの役割の限定 16.3 アルゴリズムの修正 16.4 まとめ 17章 公平公正なデータの生成法 17.1 データは新たな金(きん) 17.2 公平なデータの生成 17.3 まとめ 第Ⅳ部データサイエンティスト視点のアルゴリズミックバイアスの対処法 18章 モデル開発におけるバイアスの回避法 18.1 「ステップ1モデルのデザイン」におけるバイアスの回避 18.2 「ステップ2データエンジニアリング」におけるバイアスの回避 18.3 「ステップ3モデル推定」におけるバイアスの回避 18.4 「ステップ4モデルの検証」におけるバイアスの回避 18.5 「ステップ5モデルの実装」におけるバイアスの回避 18.6 まとめ 19章 データのX線検査 19.1 第1の検査――サンプルレベルの分析 19.2 第2の検査――データリーケージ 19.3 第3の検査――データの構造を把握するための2つの分析法 19.4 第4の検査――異常検知のための2つの分析法 19.5 第5の検査――保護対象の変数を使った相関分析 19.6 第6の検査――視覚による分析 19.7 まとめ 20章 機械学習を採用するべき時 20.1 ナイロンと木綿 20.2 機械学習はナイロンと同じ運命をたどる? 20.3 職人ワザか機械学習か 20.4 まとめ 21章 機械学習を従来の手法に組み込むコツ 21.1 特徴量レベルの機械学習 21.2 機械学習を活用したセグメンテーション 21.3 シフト効果を利用する手法 21.4 担当者のセカンドオピニオンを引き出す手法 21.5 まとめ 22章 自己改良型モデルにおけるバイアスの予防法 22.1 モデル開発時の留意点 22.2 非常ブレーキ 22.3 モデルの監視 22.4 リアルタイムの機械学習 22.5 まとめ 23章 大規模組織におけるバイアス予防の慣行化 23.1 ポイント1データのフローとウェアハウジング 23.2 ポイント2標準とテンプレート 23.3 ポイント3中庸の重要性 23.4 ポイント4キャリブレーション 23.5 ポイント5モデルの検証 23.6 ポイント6モデルの監視 23.7 ポイント7バイアスのない公平公正なデータの継続的な生成 23.8 まとめ 訳者あとがき 索引 コラム目次 すぐに行動計画を! ハイパーパラメータの選択 中央値、平均値、最頻値 勘のいい人 モデル開発の十戒