合成生物学とは、「つくる」ことを通じて生物システムを理解するための生物学です。分子生物学、遺伝子工学などの知見に工学(エンジニアリング)の考え方を加え、新しい生物システムを作り出すことを目標としています。本書は、学生や市民科学者を対象に、合成生物学の基礎と実際の実験を解説する書籍です。バイオデザイン、DNA工学の基礎の解説にはじまり、「バナナの匂いのする大腸菌」や「細菌写真システム」を作るなどの実験を実際に行います。重要な生命倫理に関しても1つの章を設け、これまでの議論や今後の課題について紹介しています。
バイオビルダー
―合成生物学をはじめよう
Natalie Kuldell、Rachel Bernstein、Karen Ingram、Kathryn M. Hart 著、津田 和俊 監訳、片野 晃輔、西原 由実、濱田 格雄 訳
- TOPICS
- Make/Electronics/DIY
- 発行年月日
- 2018年11月
- PRINT LENGTH
- 260
- ISBN
- 978-4-87311-833-8
- 原書
- BioBuilder
- FORMAT
- Print PDF
目次
はじめに 1章 合成生物学の基礎 合成生物学って何? なぜ合成生物学なのか これまでの合成生物学の流れ 工学とデザインの概論 「従来型」の工学的解決法 工学のツールキット 合成生物学のツールキット 分子生物学のツールキット 合成生物学のために拡張されたツールキット まとめ 2章 バイオデザインの基礎 トップダウンのデザインアプローチとは 休暇の計画からバイオデザインへ 設計から実装へ バイオデザインプロセスの概観 分野と課題の特定 課題に対する解決策のブレインストーミング アプローチの決定 デバイス、パーツ、DNAを使ったシステムの特定 この先は? 3章 DNA工学の基礎 議論の枠組み パーツと測定の標準化 標準化って何? 競合する標準 標準化はどのように確立されるか DNA工学の実践 DNAアセンブリの基礎 DNAアセンブリの基礎の適用 この先は? 4章 生命倫理の基礎 「良い研究」とは何か 倫理的研究のための規制 科学的進歩による倫理的問題の提起 一般の反応 合成生物学の3つの事例研究 自分で育てる光る植物 ゲノムを「創る」 生合成の薬と公益の経済 生命倫理のグループ演習 生命倫理は意思決定プロセスを含む 利害関係者の演習 5章 BioBuilder実験演習入門 合成生物学のツールキットを使った生物工学 6章 Eau That Smell実験演習 iGEMプロジェクト「Eau d’coli」からの着想 課題の特定 解決策のブレインストーミング システムレベルのデザイン デバイスレベルのデザイン システムレベルのデザインの変更 デバイスレベルのデザインの変更 パーツレベルのデザイン デバイスとシステムレベルの最終的な編集 Eau That Smell 実験演習 デザインの選択 実験の疑問 始めるにあたって 実験演習のプロトコル 7章 iTune Device実験演習 モジュール性 分離 測定の原理 通常測定されるもの 合成生物学における測定と報告 iTune Device実験演習の基本概念 プロモーターとRBS lacオペロン iTune Device実験演習 デザインの選択 実験の疑問 始めるにあたって 実験演習のプロトコル 8章 Picture This実験演習 モデリング入門 コンピューターモデリング 物理モデリング iGEMプロジェクト「Coliroid」からの着想 デバイスレベルのデザイン パーツレベルのデザイン Picture This実験演習 デザインの選択 細菌写真 Tink erCellモデリング 電子回路のモデリング 9章 What a Colorful World実験演習 シャーシ入門 実用性をどのようにデザインするか 安全性をどのようにデザインするか iGEMプロジェクト「E.chromi」の背景 デバイスについて パーツとデバイス What a Colorful World実験演習 デザインの選択 実験の疑問 始めるにあたって 実験演習のプロトコル 10章 Golden Bread実験演習 信頼性のデザイン 定期的なメンテナンス 冗長性 堅牢なシステムの構築 iGEMプロジェクト「VitaYeast」の背景 モチベーション パーツレベルとデバイスレベルのデザイン Golden Bread実験演習 デザインの選択 実験の疑問 始めるにあたって 実験演習のプロトコル Vit aYeastを形質転換する 付録 ラボの試薬と材料 用語集 索引 監訳者あとがき