エンジニアリング戦略の作り方

―エンジニアリングの難局を打破する意思決定

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TOPICS
Business/Essay
発行年月日
PRINT LENGTH
336
ISBN
978-4-8144-0170-3
原書
Crafting Engineering Strategy
FORMAT
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4,180円

「うちにはエンジニアリング戦略なんてない」と考えているエンジニアはたくさんいます。しかし実態は「存在しない」のではなく、言語化されていない、共有されていない、あるいは単に機能していないだけかもしれません。その結果、組織は何十人、時には数百人ものエンジニアの時間を、本来避けられたはずの混乱に費やしています。
本書は、Stripe、Uber、Calmなどで著者が実際に関わった組織での経験をもとに、複雑な技術的・組織的課題に対して戦略を作り上げるための実践的なプロセスを解説します。制約の把握から診断、方針策定、運用まで、ステップごとのプロセスに加え、Wardleyマッピングやシステムモデリングといった戦略を磨く技法を学ぶことで、戦略を「絵に描いた餅」から「実行に移される計画」へ変える技術を身につけられます。
戦略は経営層だけのものではありません。あなたが今いる場所からでも組織の意思決定に変化を起こせます。本書はシニアエンジニア、エンジニアリングマネージャー、アーキテクトまで、技術と組織の交差点で複雑さに向き合うすべての人のための一冊です。

目次

はじめに

第I部 エンジニアリング戦略の導入

1章 イントロダクション
    1.1 私自身の経験に基づく内容
    1.2 エンジニアリングにRumelt の理論を適用
    1.3 継続的な改良、知的側面と実務的側面の両立
    1.4 本書が目指すもの

2章 エンジニアリング戦略は役に立つのか? 
    2.1 戦略は常に存在する
    2.2 戦略は会社を変える
    2.3 状況にそぐわない戦略の影響は特に大きい
    2.4 戦略のドキュメント化により組織の学びは促進される
    2.5 暗黙的な戦略にはコストが伴う
    2.6 戦略を書くことが個人の学びを支える
    2.7 まとめ

3章 誰が戦略を立てるのか?
    3.1 エンジニアとして戦略に取り組む
    3.2 経営幹部として戦略に取り組む
    3.3 他の役割で戦略に取り組む
    3.4 困難な環境で戦略に取り組む
    3.5 上位戦略がない場合の対処法
    3.6 戦略に取り組むべきでない人は? 
    3.7 まとめ

4章 いつ戦略を書くべきか、どれくらい書くべきか? 
    4.1 戦略を書くべきタイミング
    4.2 どれくらいの量の戦略を書くべきか
    4.3 戦略の視座
    4.4 やりすぎていないか? 
    4.5 まとめ

第II部 エンジニアリング戦略を構築するためのステップ

5章 エンジニアリング戦略を構築するためのステップ
    5.1 これらのステップが戦略になるまで
    5.2 この構成は絶対視すべきものなのか? 
    5.3 まとめ

6章 探究
    6.1 探究とは何か
    6.2 いつ探究するべきか
    6.3 探究の進め方
    6.4 まとめ

7章 診断
    7.1 診断は戦略の土台である
    7.2 診断の組み立て方
    7.3 診断にデータを取り入れる
    7.4 センシティブな部分はひっそりと表現する
    7.5 ブロッカーを「診断の一部」として捉え直す
    7.6 自己認識の役割
    7.7 まとめ

8章 洗練
    8.1 戦略の洗練とは何か? 
    8.2 ツールキットを揃える
    8.3 洗練におけるアンチパターン
    8.4 まとめ

9章 方針策定
    9.1 方針とは何か? 
    9.2 方針の定め方
    9.3 方針はいくつ必要か? 
    9.4 方針の種類
    9.5 戦略の視座を保つ
    9.6 効果的な方針の判断基準
    9.7 新しい方針を作る
    9.8 競合する方針案はアンチパターンか? 
    9.9 制約を認識する
    9.10 戦略の欠けに対処する
    9.11 まとめ

10章 運用
    10.1 運用の仕組みとは? 
    10.2 仕組みをどう評価するか:評価用のルーブリック
    10.3 運用プランの作成
    10.4 効果的な仕組みとパターン
    10.5 アンチパターンと効果のない仕組み
    10.6 経営幹部ではない場合
    10.7 カーゴカルトに注意
    10.8 まとめ

11章 読みやすいエンジニアリング戦略の書き方
    11.1 書く時の構成が読みにくさを生む理由
    11.2 読み手のために構成を逆転させる
    11.3 戦略のリファクタリング
    11.4 効果的な戦略ドキュメントを書くためのヒント
    11.5 まとめ

12章 理論と実践の橋渡し
    12.1 明確で、結論を提示するドキュメント
    12.2 非現実的なスケジュールの中で戦略を立てる
    12.3 経営幹部でなくても戦略を使う
    12.4 混沌とした環境で戦略を立てる
    12.5 信頼できない情報
    12.6 他人のまずい戦略の下で生き延びる
    12.7 まとめ

第III部 洗練に使うツール

13章 反復的な洗練のための戦略テスト
    13.1 戦略をテストするタイミング
    13.2 戦略のテスト方法
    13.3 テストの役割:スポンサーとガイド
    13.4 会議と評価指標
    13.5 未テストの戦略を見抜く
    13.6 テスト省略からの立て直し
    13.7 まとめ

14章 システムモデリング
    14.1 2 分入門
    14.2 システムモデリングが有用な場面
    14.3 ツール選定
    14.4 モデルの作り方
    14.5 より深い探究のために
    14.6 モデルのドキュメント化方法
    14.7 システムモデリングとは何ではないか
    14.8 まとめ

15章 Wardley マップ
    15.1 Wardley マップ:10 分入門
    15.2 Wardley マップ用ツール
    15.3 Wardley マップが有用な場面
    15.4 Wardley マップの作り方
    15.5 Wardley マップ事例への道しるべ
    15.6 Wardley マップをドキュメントに起こす方法
    15.7 ドクトリンとゲームプレイ
    15.8 まとめ

第IV部 ケーススタディ

16章 サービスマイグレーション戦略
    16.1 本章のドキュメントの読み方
    ドキュメント16-1:サービスマイグレーション戦略:Uber 
    ドキュメント16-2:サービスオンボーディングモデル
    ドキュメント16-3:サービスオーケストレーションエコシステムのWardleyマップ
    16.2 まとめ

17章 LLM 導入戦略
    17.1 本章のドキュメントの読み方
    ドキュメント17-1:大規模言語モデルをどのように導入すべきか?
    ドキュメント17-2:LLM が開発者体験に与える影響のモデリング
    ドキュメント17-3:LLM エコシステムのWardley マップ
    ドキュメント17-4:ドライバーオンボーディングのモデリング
    17.2 まとめ

18章 プライベートエクイティ体制下での戦略
    18.1 本章のドキュメントの読み方
    ドキュメント18-1:プライベートエクイティ体制への対応
    ドキュメント18-2:エンジニアリング組織のシニア層構成モデル
    18.2 まとめ

19章 顧客データへのアクセス戦略
    19.1 本章のドキュメントの読み方
    ドキュメント19-1:ユーザーデータへのアクセスをどう制御すべきか?
    19.2 まとめ

20章 サービスアーキテクチャ戦略
    20.1 本章のドキュメントの読み方
    ドキュメント20-1:モノリスを分解すべきか?
    20.2 まとめ

21章 プロダクトエンジニアリング戦略
    21.1 本章のドキュメントの読み方
    ドキュメント21-1:「私たちはプロダクトエンジニアリングカンパニー!」:Calm のエンジニアリング戦略
    ドキュメント21-2:Calm におけるエンジニアリング主導プロジェクトのリソース配分方法
    21.2 まとめ

22章 Stripe における開発者、API、買収戦略
    22.1 本章のドキュメントの読み方
    ドキュメント22-1:Stripe におけるAPI 廃止のあり方
    ドキュメント22-2:API 廃止のシステムモデル
    ドキュメント22-3:なぜStripe はSorbet を作ったのか
    ドキュメント22-4:Stripe は買収したIndex をどう統合するか
    22.2 まとめ

第V部 今後に向けて

23章 この戦略は優れているか? 
    23.1 業界全体で戦略はどのように評価されているか? 
    23.2 戦略を評価するためのルーブリック
    23.3 戦略の中止は失敗を意味するのか? 
    23.4 見通せないベール
    23.5 失敗した戦略から学ぶ
    23.6 まとめ

24章 戦略スキルを高める方法
    24.1 戦略策定の探究
    24.2 過去と現在の戦略を診断する
    24.3 戦略スキル向上のための方針
    24.4 戦略スキル向上のための運用
    24.5 おわりに

25章 戦略に関するリソース
    25.1 私の前著
    25.2 書籍
    25.3 ケーススタディ

訳者あとがき
索引