本書『Mind Hacks』は、最新の脳科学を基にした解説と簡単な実験で、脳と心のはたらきを知る、まったく新しい脳の本です。たとえば、目には「盲点」が あり、その部分は何も見えないはずなのですが、いつもはそれに気づくことはありません。それは目が高速に移動し、脳がそこから得た映像を滑らかにつな ぎ合わせているからです。本書では長い間かけて進化してきたこのような脳のはたらきを、Webサイトの動画や身体を使った“ハッキング”で明らかにしま す。脳がどのように自分を「ごまかして」いるのか、それを知ったとき、世界 はまったく違うものに見えるでしょう。本書で扱うテーマは「脳の構造」「視覚」「聴覚」などの基礎的なものから、それらを統合して行われる「運動」 「推論」「記憶」、さらに実生活に必要な「他者との関係」まで。自分の頭の なかでは何が起こっているのかを知りたい方、心の成り立ちを知り、その知識を仕事に役立てたい方におすすめです。池谷裕二氏推薦。
Mind Hacks
―実験で知る脳と心のシステム
Tom Stafford, Matt Webb 著、夏目 大 訳
- TOPICS
- 発行年月日
- 2005年12月
- PRINT LENGTH
- 440
- ISBN
- 978-4-87311-271-8
- 原書
- Mind Hacks
- FORMAT
目次
序文 クレジット はじめに 1章 脳の構造 1 脳のはたらきを外から調べる 2 EEG 3 PET 4 fMRI:最先端の映像化技術 5 TMS:脳内の電気的活動を人為的に操作する 6 10%の神話と神経心理学 7 中枢神経系 8 大脳の4つの葉と大脳皮質 9 ニューロン 10 脳の活動と血流の関係 11 人間とエレベータの違い 12 感覚性ホムンクルスを作ってみる 2章 視覚 13 視覚系の仕組み 14 解像度 15 能動的な視覚 16 盲点を探す 17 視覚信号の停止 18 時間が止まる 19 視点の固定 20 平面に奥行きを見る 21 光源は動かない 22 三次元認識 23 明るさと輝度 24 プルフリッヒ効果 25 動かないものが動く 26 順応 27 動かないものを動かす 28 閃光遅延現象 29 足踏み錯覚 30 蛇の回転 31 想像の世界 32 衝突の回避 33 役立つノイズ 3章 注意 34 注意を向ける能力の限界 35 サビタイジング 36 物体の追跡 37 無意識の注意 38 後ろは振り返らない 39 注意の瞬き 40 変化盲 41 不注意による盲目 42 オオカミ少年は信じてもらえない 43 テレビゲームによる訓練 4章 聴覚と言語 44 「タイミング」に敏感な聴覚 45 音源の位置の特定 46 音の高さ 47 三半規管 48 ランダムなパターンから意味を読み取る 49 言語の理解 50 「音」の持つ意味 51 フレーズとバッファ 52 エラーに強い並列処理 5章 感覚どうしの関係 53 視覚と聴覚の連携 54 感覚と方向 55 ストループ効果 56 方向への反応 57 複数の感覚情報の組み合わせ 58 「見ること」の効果 59 目で聴く(マガーク効果) 60 2つの声の聞き分け 61 独り言 6章 運動 62 故障エスカレータ現象:脳の予測機能 63 体の各部分の位置を把握する 64 身体図式 65 自分で自分をくすぐってもくすぐったくないのはなぜか 66 視覚情報の2つの経路 67 扱い方は物が教えてくれる(アフォーダンス) 68 右利き? 左利き? 69 右脳と左脳 7章 推論 70 人間は数字が苦手 71 確率より頻度 72 論理的思考 73 プラシーボ効果 74 現状維持のバイアス 8章 構造を知る 75 ゲシュタルト原理 76 共通運命の原理 77 「人間」の認知 78 「生命」の認知 79 因果関係の認知 80 「自分の意志」の認知 9章 記憶 81 プライミング 82 サブリミナル効果 83 「見覚えがある」という感覚 84 記憶の出所 85 偽物の記憶 86 文脈干渉効果 87 記憶を助けるコンテキスト 88 想像力によるトレーニング 89 道筋を使った記憶術 90 一人称視点と三人称視点 91 入眠状態 92 コーヒーの味はカップで変わる? 10章 他者との関係 93 顔の認識 94 感情の表現 95 表情の感情に与える影響 96 感情の記憶への影響 97 視線 98 人は真似をする 99 気分を左右するもの 100 ステレオタイプ 索引 訳者あとがき