『CORE MEMORY』写真家・著者来日記念イベントを行いました!
Posted by oreilly : 2008-04-01 16:02
去る3月20日、21日の両日、東京・新宿にて『CORE MEMORY - ヴィンテージコンピュータの美』の写真家 マーク・リチャーズと著者 ジョン・アルダーマンを迎え、2つのトークイベントが行われました。
両日ともに多くの来場者で盛況、会場はマークのウィットに富んだジョークと、ジョンの示唆に満ちた解説に盛り上がりました。
イベントの模様を写真でご覧くとともに、オライリー・ジャパンがジョンに直撃した10の質問とその回答を公開いたします。
ジョンが語る『CORE MEMORY』刊行の背景となるストーリーをお楽しみ下さい。


3月20日 ロフトプラスワン「かっこいい機械ナイト vol.2」の模様


イベント終了後のサイン会 左がマーク、右がジョン


3月21日 ジュンク堂書店新宿店でのトークセッションの模様
■ジョン・アルダーマンへの10の質問
1.マークと一緒に『Core Memory』を作ることになったきっかけは何ですか?
マークがこの企画を動かしてくれたのです。彼はコンピュータ・ヒストリー・ミュージアムの素晴らしい収蔵品が、ヴィジュアルとしてまとめられてもいなければ、世界にも伝えられていないことに驚いていました。こんなにも技術の重要性が言われているというのに。
それから、ずっとネット上の出版や文化に携わってきた者として、私もこのプロジェクトに関わりたいと思いました。私はかつて、初めて広告収入で運営されたサイト「ホットワイアード」の編集者で、今はテクニカルライター兼Webコンテンツとユーザ・エクスペリエンスのコンサルタントをしています。
私はもうしっかりとコンピュータに根付いてしまっていて、人生の大半はもう自分にとって当たり前にしか思えないインタフェースで組み上げられています。15年前にはコンピュータが机の上にあることはまだ珍しいことでしたが、今やほとんどの人がコンピュータのスクリーンを通して世界を見、行動し、仕事やその他の時間で利用しています。私はコンピュータのネットワークとインタフェースがどのように進化したか調査したかったし、インタフェースがどう応答し、反応を返してくるのか、知りたかったのです。
昔の人がコンピュータと人間はお互いにどう関係を持つべきかと考えていたことを知って興奮しました。世界を変えたシステムの創った人々について学び、今日のコンピュータが仲立ちする世界が生まれるに至った歴史的な過程を知りたいと思いました。
2.何か特別なアイディアや指針が、この本の制作の初期段階からあったのですか?
技術は文化であり、人生と深く結びついているという仮定からスタートしました。本書のコンピュータたちが初めて登場した時の、目を奪われるようなオーラを取り除くと、人間の手と想像力の働きがはっきりと見えてきます。博物館が、忘れられていた私たちの文化や技術の先駆者たちの産物を保管していたのは驚きでした。
3.制作に当たって、最も困難なことは何でしたか?
プロジェクトの進行に関して博物館と出版社が互いに相手待ちでしたので、その二者間の調整でした。
もう一つは、それぞれのコンピュータについて正確な事実を収集することでした。全ての人が同意する事実を収集することは想像以上に困難でした。その道のエキスパートや、マシンを創った人たちでさえ頷かないのです。
しかし面白いのは、実際にマシンを創った多くの人たちがいまだ生存しており、その歴史を自身のウェブサイトで紹介していますが、お互いに意見が一致していないことです。彼らがマシンを創った当時は、歴史的に正確な資料を残すことよりも問題を解決することを重視していたからでしょうね。
4.最終的に写真を選択する際の基準は何でしたか?
視覚的な面白さと歴史的な繋がりとのバランスでした。スペースは限られているので外さざるを得ないマシンもありましたが、全体として視覚と言語の両面でストーリーを伝えることに努めました。もちろん、書きたいことはもっと一杯ありました。
5.書籍タイトルは42ページの「Core Memory」から採られていますが、なぜこのタイトルにしたのですか?
「Core Memory」には少なくとも2つの意味合いがあります。
まず、文字通り、現代と手作りで創造していた時代との中間点のようなものの記憶の形として。もう一つは私たちが、この本が歴史的なコンピュータの保存と、人間の発展の軌跡におけるこの驚くべき分野の研究の進展につながって欲しいと望んでいる、その記憶として。
コンピュータが世界中に影響力を持ち続けるようになって以来、それらがどのように発展したかを学ぶことは大切なこととなりました。それは私たちの文化的な記憶の中心を形成するはずです。技術の世界は極めて独創的ですから、私たちは新しいものにこだわり、気を引かれがちですが、これらの古いコンピュータに秘められたストーリーは、歴史的な重要性に加え、今日なお大切な人間のドラマと興味に満ちています。
6.コンピュータは50年ほど前に生まれ、他産業のものと比較してもそれは長い歴史ではありません。この観点からどの写真を選び、どのようなものを除きましたか?
実際のところ、コンピュータにまつわる博物館の収蔵品は数世紀前に渡るため、50年間以上の幅で選ぶこともできましたが、「コンピュータ」という用語の生まれた第二次世界大戦時代の機械から始め、冷戦時代の壮大なプロジェクトからパーソナルコンピューティングの時代を経て、インターネットの興隆へと至るより近代的な部分に選択を狭めました。
ですから「Google最初の運用サーバ」が本書収録の最後のマシンとなります。これは、さまざまな物事を変化させて-または彼らの時代を定めて-いったコンピュータたちの公平で誤りのない流れになっていると思います。少なくとも、西海岸、アメリカ人の視点からはそうだと思います。できればもっと世界中のマシンを掲載したかったのですが、博物館の保存するコレクションからの選択でしたので限られたものになりました。
7.写真は米国のコンピュータ歴史博物館に展示されていますか?博物館のバックグランドを説明していただけますか?
博物館は、ボストンにあったthe Computer Museumに付属する西海岸収蔵庫として1996年にスタートしました。ボストンの博物館の閉館に伴って独立し、世界で最も重要なコンピュータの収集物を展示しています。現在は 元Silicon Graphics のオフィスであったSilicon Valley buildingにあります。サンフランシスコのベイエリアに行かれることがあったら、ちょっと足を伸ばしてでも、これらのマシンを自分の目で見てみる価値は十分あると思います。
8.読者にどのようにこの本を楽しんでもらいたいですか?
色々な見方で楽しめますし、元々この本はそのように作られています。まず単純に、見て美しいという点で楽しむことができます。どれもが素晴らしい機械ですし、マークの写真はその芸術性を表現しています。また、歴史の流れがあり、政治・戦争・ビジネス・科学・人間の創造性・遊び心や進化の精神などの物語があります。コンピュータの歴史はそれらを全て混ぜ、さらにかき回したり持ち上げたりしたものです。
デザイナーや芸術家にとってはインスピレーションの源になりますし、これらのマシンに関わったり、動かしていた人々にとっては良い思い出を蘇らせるものにもなるでしょう。
9.初めての海外での出版だそうですね?
そうです。そしてとても嬉しく思います。以前日本に住んだことがあり、とても強い印象を受けました。多くの日本人の友達がいて、彼らに日本語でこの私の本を見せることができることを誇りに思います。それからこの日本語版は美しいですし、日本人の翻訳者や編集者と一緒に仕事をしたことは素晴らしい経験でした。
10.日本人読者に向けてのメッセージを。
写真を技術的によく知っていて、深い洞察力を持つ日本の皆さんに、私たちの作品をご覧いただけることに感激しています。皆さんからのご意見やご批評、何でも聞かせてください。私のブログsupereverywhere.comで紹介するための、コンピュータの歴史や広くテクノロジーについての興味深い話も集めています。どうぞ、john@supereverywhere.comまでメールをください。