対象となる読者

 本書は、ゾーンと1台または複数台のネームサーバを管理するシステム管理者およびネットワーク管理者を主な対象として書かれているが、ネットワーク技術者や電子メール管理者などにとって有益な内容も含んでいる。しかし、色々な読者がすべての章に同じように興味を持つことはないだろうし、自分の仕事に関連した情報を見つけるために16章全部を読みたいとも思わないだろう。以下のロードマップが、どのように本書を読み進めるべきか決める助けになることと思う。

 ゾーンを初めて立ち上げようとしているシステム管理者は、1章と2章を読んでDNSの理論を理解し、3章を読んでゾーン名の決め方についての情報を得てから、4章と5章で初めてゾーンを立ち上げる方法を学ぶ。6章では、立ち上げたネームサーバを使うためのホストの設定方法が説明されている。しばらくしたら、7章を読んでゾーンに肉づけする(具体的には、ネームサーバを追加設定し、必要なデータを追加する)方法を学ぶべきである。その後で、12章、13章、14章を読んで、トラブルシューティングのツールやテクニックについて学ぶとよい。

 経験を積んだシステム管理者は、6章から各種のホスト上のDNSリゾルバを設定する方法、7章からはゾーンを運用する方法を学べるだろう。大規模なゾーンの管理者には、8章で解説されているゾーンの拡張と発展をどのように計画するかが特に有益である。大きな変更を考えているのなら、9章の親ゾーンの仕事(サブドメインの作り方)の解説は読んでおかなければならない。10章では、BIND 8.2.3および9.1.0ネームサーバで登場した新しい高度な機能の多くを解説している。11章ではネームサーバのセキュリティ機能について解説しているが、これらの機能の多くは、経験を積んだシステム管理者には極めて有益なものと思う。12〜14章のトラブルシューティングのツールやテクニックについての解説には、上級のシステム管理者も読む価値を見いだすだろう。

 インターネットに完全には接続されていないネットワークのシステム管理者にとっては、5章で解説されているメール環境の設定方法と、11章で解説されている独立したDNSインフラストラクチャの構築方法が役に立つだろう。

 プログラマは、1章と2章を読んでDNSの理論を理解してから、15章を読んでBINDリゾルバライブラリルーチンを使ったプログラミング方法を学ぶとよい。
 ゾーンを直接管理しないネットワーク管理者は、1章と2章を読んでDNSの理論を理解してから、12章を読んでnslookupとdigの使い方を、14章を読んでトラブルシューティングの方法を学ぶとよい。

 電子メールの管理者は、1章と2章を読んでDNSの理論を理解してから、5章を読んでDNSと電子メールの関係を学ぶとよい。さらに12章のnslookupとdigの解説を読めば、ドメイン名空間からメールの配送経路情報を見つけ出す方法がわかるだろう。

 DNSに興味がある一般ユーザは、1章と2章を読んでDNSの理論を理解したら、あとは好きな所を読んで欲しい。

 本書は、読者が基本的なUNIXのシステム管理や、TCP/IPネットワーキング、簡単なシェルスクリプトやPerlを使ったプログラミングについては十分な知識を持っていることを前提として書かれている。読者がそのほかの特別な知識を持っていることは仮定しない。新しい用語や概念を紹介するときには、それらの定義や説明を添えるように努力する。また、読者が新しい専門用語や概念を理解しやすいように、UNIXの世界(もしくは実際の世界)との対比をできるだけ使うようにする。


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